さて、今回は本題である現在のマイナンバー(個人番号)の利用についてご案内したいと思います。利用は法律で決められますので、ちゃんと限定された利用状況となっています。
マイナンバーと情報連携
第一回でも触れましたが、大きな変化としては、2017年11月から行政機関での情報連携は本格稼働したことでしょうか。
情報連携とは、行政機関の窓口で提出する必要があった書類を省略できるようマイナンバーをもとに専用のネットワークシステムを利用して、異なる行政機関の間で情報のやり取りをすることで、地方公共団体での児童手当や介護保険、地方税の減免手続きをはじめ、健康保険関係、ハローワーク関係の申請手続き等に必要な書類の提出が、申請を受けた行政機関から関係機関に照会を行うことで省略可能になっています。
この情報連携では、マイナンバー(個人番号)を直接用いず、情報保有機関ごとに振り出された符号を使用し、また、個人情報は一元管理せず従来どおり各行政機関で分散管理することで、芋づる式に情報が漏えいすることを防止する等様々な対策が講じられています。
年金分野での利用
年金分野においてもマイナンバー(個人番号)は利用されていますが、2015年6月に標的型サイバー攻撃に伴う年金個人情報の大量流出事件が判明したことから、改正マイナンバー法では政令により指定する日まで情報連携は延期されていました。
年金分野についても、日本年金機構の情報連携を可とする政令が閣議決定され、2018年1月から稼動テストし3月以降に情報連携する目標となっており、国民年金保険料の免除申請に必要だった市町村発行の課税証明書が、今後は日本年金機構からの照会により、市町村が課税情報を提供することで不要になります。
年金分野についてもう少し触れますと、2017年1月より相談・照会業務におけるマイナンバー(個人番号)の利用が開始され、年金事務所の受付で記入する「年金相談・手続受付票」に基礎年金番号でもマイナンバー(個人番号)でも、どちらでも記入できるように番号欄が12マスになりました。
個人情報大量流出事故への配慮でしょうか、マイナンバー(個人番号)を記載したくないという人への対応要領は、「個人番号の記載を求めてもなお拒否された場合等においては、個人番号の記載がないことのみをもって受理しないことは適切でないので留意すること」とされており、従来どおり、基礎年金番号による届出は可能で、「番号制度導入後に新規で年金制度に加入する者についても、引き続き、基礎年金番号を付番したうえで、個人番号を紐付けて管理する」ということのようです。
<参考> http://www.nenkin.go.jp/mynumber/kikoumynumber/1224.html
金融機関での利用
さて、皆様の関心が高いのは、やはり金融機関の部分でしょうか。
2016年1月以降に下記の特定取引(証券口座は該当)をする場合は、金融機関へマイナンバーの提示が必要となりました(既存口座は3年間の猶予あり)
・投資信託、公共債など証券取引全般
・外国送金(支払い・受取り)など
・マル優、マル特
・財形貯蓄(住宅・年金)
・信託取引(金銭信託など)
・教育資金等の贈与税非課税制度など
そして2018年1月から上記以外の取引でもマイナンバーが必要となりますが、既存口座については3年間は任意となっています。
分かりやすくするとこのようになります。
既存口座でも住所変更などの場合は必要となりますが、何となく、提示しなくて良いものはギリギリまで提示したくないですね。
マイナンバー(個人番号)の使われ方は法律で決められますので、ちゃんと国会審議などにも関心を寄せてチェックしていくことが大事だなと感じていますし、ますます利便性が高まるであろうマイナンバーカードについても、その情報をしっかりチェックしていかねばなりませんが、先日のニュースで「今後日本にできるカジノへの入場管理にマイナンバーカードを使う」という話がありました。これもマイナンバーカードを普及させるための作戦なんでしょうね。